黒木工吉のフィギュアスケート解説ブログ

フリーライター黒木工吉のフィギュアスケートに関するブログです。最新の技術解説、選手の情報からフィギュアスケートというスポーツ全体まで様々な角度から論じてみます。

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女子FS直前企画!読めばテレビ放送が1.4倍くらい楽しくなるかもしれない最終グループの展望をズバリ解説!

いよいよ明日に迫りましたバンクーバーオリンピック女子FS!!
もう明日のお昼すぎには、新しいオリンピックチャンピオンが生まれています!!

それでは男子のときと同じように、SPを振りかえるとともに最終グループの展望などを記してみたいと思います。

まずは滑走順です。

19 レイチェル・フラット
SP 順位 5位 64.64

彼女の『シング・シング・シング』とてもすばらしかったですね。本当に溌剌としていて。わたしは女子の滑る『シング・シング・シング』で何度でもみたいなと思ったプログラムは彼女のが初めてです。トリプルフリップートリプルトゥループ認定されました。しかもGPE(出来栄えの加点減点)の方で+0.4がつき、9.9の高得点です!彼女はこのジャンプを高確率で決めてくるので、認定されてくると怖いです。

彼女は失敗が少なく、そのほかのスピン、ステップも加点をもらえる出来栄えでまとめる力が強いので、FSでもクリーンに滑れば120点中盤はでるかもしれません。そうなると、上位が崩れたら彼女にもメダルのチャンスはあります。

20 安藤 美姫
SP 順位 4位 64.76

『レクイエム』ほんとうにすばらしかったです。わたしは個人的にウルウルしてしまいました。彼女の演技には意志を感じます。音楽をこう表現するのだ、という意志。それはキム・ヨナや浅田真央と比べても彼女が抜群に優れている点です。得点がいまいち伸びなかったのはトリプルルッツートリプルループの第二ジャンプが認定されなかったためです。基礎点11.0のジャンプですが、ダウングレードで基礎点7・5、そして更GOEで1.2も引かれて得点は6.3。しかし私は彼女のチャレンジに大いに興奮しました。自分でもアナウンサーと八木沼さんと一緒に「トリプルループッ!」と叫んでしまいましたからね。あとはトリプルフリップがちょっと乱れてしまいました(見た感じではクリーンでしたがね)。

彼女はたぶん、もうルッツーループを捨てざるを得ないでしょう。4回転サルコウともに、彼女が新採点で失ったものは大きいです。しかし彼女は、5種類の3回転ジャンプをバランス良く決める持ち前の才能があります。要はダブルアクセルートリプルトゥループになるでしょうか?ちょっとまだプログラムの予定を見ていないのでわからないのですが、わたしは昨年の世界選手権での『サンサーンス交響曲第3番 オルガン付き』と同じジャンプ構成にするのが良いと思います。オリンピックの舞台で彼女はとても美しかった。わたしはFSで彼女の芸術的な意志が発露するのを、待ち望んでいます。

21 キム・ヨナ
SP 順位 1位 78.50

バッチリの出来でしたね。浅田選手がパーフェクトに滑ったので、さすがの彼女も緊張していたでしょう。しかし、世界最高得点更新。さすがに『鉄の女』です。

彼女はジャッジに愛されています。世界最高得点というのはそういうことです。世界スケート連盟が、「現状彼女のジャンプや演技を参考にしなさい」ということです。だから軒並み加点がつく。素人目に見ても、彼女のジャンプは幅があってとても美しい。ジャンプというのも個性があるのですが、浅田選手の垂直に跳びあがって回転の速いジャンプよりも、ジャッジはキムヨナのジャンプを支持しているということです。これはもう覆らない。これで他の選手は自力で金メダルを取るに行くのは厳しいと言わざるを得ません。つまり、彼女がミスをしなければ、彼女が金メダルです。

しかし、比較的彼女はフリーでミスをします。彼女はどちらかというとSPのほうが得意な選手です。それほど体力に自信のある選手ではないでしょうし、序盤に3回転3回転、2回転半3回転のコンビネーションを持ってくるので、後半はジャンプが乱れることがままあります。

だから、ロシェット選手、浅田真央選手が完璧に滑れば、逆転できる可能性は大いにあります。
勝負はまだまだこれからですよ。

22 浅田 真央
SP 順位 2位 73.38

やってくれました!演技に入る前の動作がいつもと違うので、緊張でからだが固まってしまっているのではないかと心配したのですが、ほんとうによくやりました!オリンピックのSPでトリプルアクセルの認定は初です!すばらしい。

詳しい得点の分析は以前の記事でしたのですが、キム・ヨナ選手との得点の差は結局のところジャンプの加点ですね。浅田選手に比べてキム・ヨナ選手のジャンプに加点が付いています。

浅田選手は、やはりトリプルアクセルを2度入れる必要があるでしょう。5点の差は、考えなくてもいいでしょう。試合の流れがどうであっても、彼女はトリプルアクセル2回と、自分の入っているエレメンツをしっかり成し遂げれば、彼女が両手をあげたときに、そこにはすばらしい『鐘』の音楽世界の余韻が広がっている筈です。このプログラムを演じきることに、全力を投じてほしい。

彼女はわたしが今まで見た中で一番好調であるように見えます。メンタル的にも楽しさに満ち満ちているようで、とても明るい。彼女はまだ若い選手です。『鐘』を完成させることが、金メダル以上の価値を彼女の人生にもたらすのではないかと、わたしはおもいます。

23 ジョアニー・ロシェット
SP 順位 3位 71.86

よく頑張りました。ベテランといっても、彼女とてまだ24歳です。肉親を亡くすには早すぎます。加えて、このタイミングです。演技が終了した時点でこらえていたものが溢れていしまった彼女に、わたしはもらい泣きしてしまいました。

演技はほんとうにすばらしかったです。彼女の持ち味のエレガントなスケートが、ジャンプがしっかり流れることですばらしく音楽と調和し、ひとつの作品として完成されたものになっていました。カナダ選手権での得点も汲むと、まぁノーミスなら70点はでるのだろうな、とわたしも予想していました。彼女はジャンプやスピン、ステップが浮くことなく、すべて一つの作品のなかで調和しています。

彼女はメンタルのコントロールが心配です。キス・アンド・クライで号泣していた彼女の気持ちの糸が切れていなければ良いのですが……。ぜひフリーで彼女ならではの円熟した『サムソンとデリラ』を期待してしまいます。

24 長洲 未来
SP 順位 6位 63.76

彼女はSPに本当に強い。長い手足を生かしたスピン、スパイラルは本当に圧巻の美しさでした。そしてその他の要素においても本当に洗練された、とても16歳とは思えない出来でした。

しかし彼女はたびたびFSで演技内容に見合わない得点を出されてしまうことがあります。ジャンプのダウングレードが原因ですが、後半のジャンプなどが、軒並み回転が足りないと判断されることがありました。

全米選手権でも、2位で代表の座を掴みとったものの、会場の盛り上がりは彼女が一番だったとおもいます。しかし、得点はフリー3位。総合で2位にとどまったものの、会場からは驚きの吐息が漏れました。

それだけ、目につく失敗をすることの少ない選手です。そして明日のフリーでも全米選手権と同じ最終滑走。自分の持ち味を世界にアピールするつもりで、伸びやかな演技を期待します。ジャンプがすべて認定されれば、メダルの可能性も十分にあるでしょう。
以上、またも駆け足ではありますが、展望を記してみました!
あぁ、楽しみですねー。選手は皆皆、力を出し切ってほしいものですね。

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