黒木工吉のフィギュアスケート解説ブログ

フリーライター黒木工吉のフィギュアスケートに関するブログです。最新の技術解説、選手の情報からフィギュアスケートというスポーツ全体まで様々な角度から論じてみます。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

バンクーバーオリンピック女子フィギュアスケート直前企画!安藤美姫、浅田真央、キム・ヨナ選手のメンタリティを解析③ チャレンジを止めたらフィギュアスケーターでなくなってしまう浅田真央







浅田真央の場合、シンプルそうに見える彼女が実は一番複雑なメンタリティを抱えているようにわたしの目には映る。彼女は常に高い目標に対して挑戦し続けている。トリプルアクセル、それが跳べたらフリーで2度のトリプルアクセル、それが入ったら4回転ループ、そしてステップからのトリプルアクセル、SPからトリプルアクセル、一試合に3度のトリプルアクセル。それをこなしながらも、全てにおいて高難度の濃密なプログラム。

ときどきファンは、そんなに挑戦を続けなくても、浅田真央の実力なら今できることをキッチリやれば勝てるではないか?と言う。しかしそれはある意味では正しいが、正確には誤っている。彼女は挑戦を続けなければモチベーションを保てない、根っからのアスリート精神を抱えているのである。

わたしがそれに気がついたのは、2006年の世界ジュニアでのことだった。

その年の浅田真央はフィギュアスケートの競技至上最高ともいえる、破竹の勢いで勝ち続けていた。15歳で挑んだシニア初参戦のグランプリシリーズで初戦2位、そして次戦で早くも優勝してしまった。その勢いのままで進んだグランプリファイナルでも、優勝してしまった。荒川静香も、その当時世界最強の呼び声高かったイリナ・スルツカヤもことごとく破って。

そして、彼女は年齢制限の為オリンピックに出られなかった。トリノオリンピックの時の浅田真央の出場騒動は、日本国民の記憶にも新しいのではないだろうか。

浅田真央はトリノオリンピックをテレビで観戦した。そして、彼女に控えていたのは、その後の世界ジュニア選手権だった。

浅田選手はそのとき、SPでのトリプルアクセル、そしFPでの4回転ループ挑戦を明言していた。当時の彼女の勢いを考えれば、彼女はなにもかも成功してしまうのではないかと考えられた。なにもかもとは言わないまでも、優勝は間違いないだろうと。

しかし、その試合で浅田真央は優勝を逃した。しかも、必勝を掲げたこの試合で、SPでトリプルアクセルを入れたものの他のジャンプでミスを犯し点は伸びず、安全策をとって4回転ループは回避した。それでも、負けてしまったのだ。シニアのグランプリファイナルを制した選手が、他のジュニア選手に負けてしまったのである。この衝撃は当時として、大きかった。その彼女を負かした選手こそが、他あろうキム・ヨナ選手であった。

当時からキム・ヨナ選手は将来を切望された、すばらしい選手であった。しかしあの時点では、こんなに早く浅田真央を越えて世界最高得点を叩き出す女王になると、予想できたものは少なかっただろう。しかも、彼女とてあのとき、会心の演技!というわけではなかったのである。

しかし、それ以上に浅田真央は悪かった。彼女はインタビューでその心境をこう応えた。

まだ真央はジャンプだけなので、ジャンプが跳べないと負けちゃう。ユナはスケートもきれいだし、ジャンプも上手。今回は余裕がなかったけれど、これからはもっとスピンもたくさん回転しなくちゃいけないし。他にもいろいろ……」

これは、日本人としてはおなじみの心理だといえる。浅田真央の人気の由縁もこういう謙虚で常に向上していないといけないと考えるメンタルが共感を集めているのかもしれない。あの時、攻める気持ちを、グランプリファイナルを制した時のように挑戦者の気持ちで4回転ループに挑戦していればあるいは勝てていたかもしれない。しかし本当は、浅田真央がそのタイトルにそれほど固執していなかったことこそが、モチベーションを維持できなかった要因かもしれないし、真偽のほどはわからない。しかし断言できるのは、彼女は常に挑戦を続けていないと、モチベーションのコントロールにとても苦労してしまうタイプの選手であるということだ。

その浅田真央の道程が、この4年間だ。挑戦を続けていった結果、彼女は『鐘』という最高レヴェルのプログラムをこなし、トリプルアクセルをオリンピックで3度入れるという、前人未到の記録を狙える選手に成長した。

彼女は現状のルールでは、必ずしもうまく勝てる選手ではない。しかし世界中の誰もが知っているだろう。彼女こそが最もフィギュアスケートという競技を象徴する選手であることを。

【了】

↓ブログランキング参加中!ぽちぽちしてくれるとうれしいです。↓ 
人気ブログランキングへ



スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://kokichi0026.blog65.fc2.com/tb.php/24-1ef4ca16
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

アイビーが・・・・こんな???

お花は『花ギフト館』へ^^

  • 2010/02/23(火) 15:15:36 |
  • 花ギフト館のブログ

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。