黒木工吉のフィギュアスケート解説ブログ

フリーライター黒木工吉のフィギュアスケートに関するブログです。最新の技術解説、選手の情報からフィギュアスケートというスポーツ全体まで様々な角度から論じてみます。

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バンクーバーオリンピック男子FS直前企画! 明日のフリーを1.3倍くらい楽しむための展望予想!

いよいよ明日に迫りましたバンクーバーオリンピック男子FS!!

ショートプログラムでは期待以上の熱戦。失敗してしまった選手もいました。
力を出せた選手もいました。しかし、そこにあったのは予想を遥か上回るほどの熱いドラマでしたね。

では、以前注目選手に上げた11選手のSP結果から、FSの展望まで書いてみましょう。

1 エフゲニー・プルシェンコ AAA 
SP 順位 1位 90.85
やはりきました大本命。あっさりと4回転3回転、トリプルアクセル、トリプルルッツを決め、定位置の首位に立ちました。彼はSP後の会見でこんなことを発言しています。
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男子3強が「4回転」論争=2対1、高橋は毅然と〔五輪・フィギュア〕

混戦が予想された男子はショートプログラム(SP)で90点の大台を超えた3強が一歩抜け出した。0.6点差の中に3人。フリーに向けて1、2、3位という順番にさほど意味はないが、並んで臨んだ15分余りの会見がもう心理戦だった。
 中央にどんと座った首位のプルシェンコが格上であることを誇示した。2位ライサチェクは少し弱々しく見え、3位の高橋は毅然(きぜん)としていた。
 焦点は「4回転」。SPで後ろに3回転をつけた連続ジャンプを決めているプルシェンコは「4回転ジャンプはフィギュアスケート界の将来を左右する」と切り出し、一席ぶった。技術、ジャンプの進化の歴史を説明し、「バイアスロンやスピードスケートでも新記録が出ている。(4回転を跳ばないとしたら)われわれの進歩は止まる」。名指しこそしないものの、フリーで4回転を避ける見通しのライサチェクをちくりと刺した。
 それに対し、現世界王者は「スピードスケートでいうなら、最初の一歩が次の一歩より大事ということはない。それと同じ。ジャンプもステップもスピンも同等に重要だ」と返したが、次に口を開いた高橋の言葉が、その場の優劣を決めた。 「長野(五輪)から4回転を成功させた人がチャンピオンになっている。勝つために必要。男子の醍醐味(だいごみ)としてやることがこれからにつながる」。プルシェンコは、高橋の方を向いてうなずいた。フリーではプルシェンコが2度、高橋は1度入れてくる。ライサチェクは安全策で。勝負の行方に、どう絡んでくるか。(バンクーバー時事)
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なんという強気!
彼は皇帝という名にふさわしい、堂々たる風格をもっています。
ちなみに以前、「3年間頑張ってきた人に勝ててうれしい」といった趣旨の発言もあったようで(プルシェンコ自身は3年間現役をう休んでいたから)、当の「3年間頑張ってきた人」の心中を察すると余りあるものがありますが、それがスポーツの厳しさでしょう。

で、実際を演技をみた感想なのですが、4年前のトリノ程圧倒的な差はつけられませんでした。
もちろんジャンプの総点数は1位だったのですが、スピンステップでは他の選手に評価を譲った結果です。特にステップは評価がついてきませんでした。もともとスケーティングからして深いエッジに乗ってフットワークを披露するようなことは苦手なタイプだったのですが、やはりここにブランクがあったのかもしれません。
音楽表現においても物足りない部分は否めず、演技構成点でも全体の5位に沈みました。
彼は明日の最終滑走者です。彼が滑るまでにどんなドラマがあるか、そして、彼が滑った後、世界はどう変わっているのでしょうか?期待に胸が高まります。

2 ステファン・ランビエール AA
SP 順位 5位 84.63

惜しむらくは4回転3回転のコンビネーションが4回転2回転になってしまったことですが、演技構成点の圧倒的な評価で全体の5位につけました。音楽の解釈で9.15!!これも納得の好演技でした。この演技で、ジャンプがしっかり入った場合、金メダルもあり得るという可能性を示しました。彼はまだ自力で金メダルを狙える位置にいます。FSの『椿姫』はオリンピック史上に残る名プログラムになるでしょう。プルシェンコが4回転をアピールし続けるのと同様に、彼もフィギュアスケートの芸術性を、自らの演技で証明してくれています。願わくばそのプログラムにメダルという称号がつけば、より多くの人にアピールできる可能性に繋がるのではないでしょうか。

3 ブライアン・ジュベール AA
SP 順位 18位 68.00

彼にはショッキングな一日になってしまいました。バンクーバーのオリンピックの魔物が試練を与えた3人のうちの1人です。4回転のミスは、ファンも頭のどこかにあったと思いますが、その後の3回転ルッツ(からコンビネーションを試みたと思われる)の見たことのない転倒。プルシェンコの存在を意識していたことは、誰の目にも明らかでした。演技が終わった瞬間、彼はたくさんのことをあきらめなければならなかったでしょう。それでも、フリーでできることはある筈です。あきめらめるものはすっぱりあきらめ、ファンはショートプログラム18位からフリー1位で入賞を果たす彼の雄姿を期待して声援を送り続けるでしょう。

4 エヴァン・ライサチェク A
SP 順位 3位 90.85

おそらくこの日自分の潜在能力を遺憾なく発揮できたのという意味では、彼は突出していたでしょう。解説の本田氏も、彼がトリプルアクセルで苦労していることは伝えていました。しかし彼は跳んで見せた。彼は演技が終わった後感情を抑えることなく、ガッツポーズで観客の声援に応えました。しかし、プルシェンコの項で抜いたニュースを読む限り、彼はFSで4回転を回避してくるのだそうです。入れないのではなく、おそらく入れられないのです。彼はオリンピックに4回転を準備してきていない。彼のベストスコアは159.60です。それにSPのスコアを足すと、249.9になります。わたしの予想では、おそらく優勝者のFSのスコアは170点前後になってくると思います。故に、254~260くらいが優勝者のスコアと予想されます。そうすると、4回転を入れないライサチェクにはいささか難しいスコアになるでしょう。わたしは事前に評価をAと与えていたように、今もって彼のメダル獲得には懐疑的な視点を持っています。しかしもちろん、勝負は蓋を開けてみないことにはわかりません。

5 ジェレミー・アボット AA
SP順位 15位 69.40
彼もオリンピックの試練を与えられたうちの一人です。ジャンプで二つのミスを犯してしまいました。彼自身、どうしてこういう失敗を犯してしまったかわからないといいます。昨年も彼はシーズン初戦のGPFを制してから、世界選手権で調子を落としてしまいました。今回も、もしかしたらあの神懸った演技を披露した全米選手権で、ひとつ気持ちが切れてしまったのかもしれませんが、それは観る側の勝手な想像にすぎません。彼自身言うように、わからないことなのです。しかし以前も書きましたが、彼のFSのプログラムは素晴らしい出来です。ジュベール同様、振り落とすものは振り落として、吹っ切れた状態での好演技を期待しています。

6 トマシュ・ ベルネル A
SP 順位 19位 65.32
彼もオリンピックの魔物にとらわれてしまいました。才能豊かな選手であることは誰しもが認めながら、ここ一番というところで力を発揮できていません。しかし明日は一番滑走。素晴らしい好演技で、一番滑走フリー首位という前人未到の記録も、彼には成しえるポテンシャルはあるのです。ファンはそれを期待して、一番滑走者から熱のこもった声援を送ることでしょう。

7 パトリック・チャン AA
SP 順位 7位 81.12

やはり彼のスケーティングは絶品でした。普段フィギュアスケートを見慣れない人にとっても、なにかしらスケーティングというものにおいて、感じさせる部分はあったのではないかと思います。サーキュラーステップシークエンスではライサチェクとともにレベル4を獲得しました。しかし彼はジャンプの不安を克服できていませんでした。4回転についても、「自分のやるべきことをやるだけ。ここ2週間は4回転の練習をしていないし、なぜ入れなきゃいけないのか分からない」と語っています。メダル圏内に入ってくるのは、厳しいかもしれないのが正直なところです。

8 ジョニー・ウィアー A
SP 順位 6位 82.10

彼も自分の潜在能力を発揮したという意味では、ライサチェックに次ぐものがありました。自分の個性を遺憾なく発揮し、自らの存在を強烈にアピールしました。ジャンプもバシッと決まった。フリーで4回転を入れてくるかは微妙なところですが、勢いに乗ればメダルにも手が届く位置です。メダル候補に挙げられていないことについて、「僕はオリンピック選手で、良いアスリートだけど、個性に邪魔されてみんなそれを忘れているんだと思う」と語った彼のプライドの発露に、わたしは注目したい。

9 高橋大輔 AA
SP 順位 3位 90.25

やりましたね。すこし緊張して動きが小さくなっているきらいはありましたが、観客やジャッジへのアピール、そして持ち前の独特の空気感をオリンピックのリンクで遺憾なく発揮しました。ジャンプでは怪しいところもありましたが、ニュースを見ている限り、徐々に調子を上げてゆく良いパターンに入っている可能性もあります。フリーでは確固たる意志をもって4回転を入れてくるだろうとわたしは考えています。そしておそらく競技者全員が持てる潜在能力をいかんなく発揮した場合、勝つのは彼です。オリンピックで世界中に彼らしい『道』を存分に披露してほしいと思います。

10 織田信成 AA
SP 順位 4位 84.85

彼もすばらしい出来でした。高橋大輔同様、やや動きや表情が強張っている様子は見受けられましたが、彼の持ち味は充分発揮できたと思います。彼は緊張していても、力を発揮できるすばらしいメンタルを持っています。もともと『死の舞踏』においては余り点は伸びないのではないか?という指摘を以前わたしはしていました。放送を見た直後は、「もう少し点が出てもいいのでは?」と考えたましが、評価としては上々と言えるのではないでしょうか。4回転の調子が上がっていることを願います。4回転3回転と2度のトリプルアクセルの入った完璧な『チャップリンメドレー』を目にしたとき、我々はそのプログラムと織田信成に全く新しい観点から、これまでにない素晴らしい評価を与えることになるのだろうと思います。

11 小塚崇彦 A
SP 順位 8位 79.59

彼も素晴らしい出来でした。特によかったのは、体がよく動いていた点です。この点においては日本3選手の中で一番でしょう。持ち前の伸びやかなスケーティング、そして躍動感あふれるフットワーク。会場の反応もとても良いものでした。ジャンプのほうでちょこちょこ減点があり点数は伸びませんでしたが、それでもオリンピックを楽しんでいる様子は世界中のファンをわくわくさせたのではないでしょうか。フリーでは彼も4回転を入れる準備をしてきたようです。どこまで世界の強豪を食っていけるか、そこが見所です。

以上、再び駆け足ではありますが、まとめてみました!
これで皆様の熱がすこしでも高まったとしたら、これ幸いでございます。

最後に明日の滑走順を載せておきます。


1 Czech Republic VERNER Tomas 19 65.32
2 Italy BACCHINI Paolo 20 64.42
3 Austria PFEIFER Viktor 23 60.88
4 Canada CHIPEUR Vaughn 24 57.22
5 Ukraine KOVALEVSKI Anton 21 63.81
6 Sweden SCHULTHEISS Adrian 22 63.13

7 Germany LINDEMANN Stefan 17 68.50
8 Russian Federation BORODULIN Artem 13 72.24
9 United States ABBOTT Jeremy 15 69.40
10 Italy CONTESTI Samuel 14 70.60
11 Spain FERNANDEZ Javier 16 68.69
12 France JOUBERT Brian 18 68.00

13 Japan KOZUKA Takahiko 8 79.59
14 Kazakhstan TEN Denis 10 76.24 ←個人的に見てほしい選手です将来の世界チャンピオン候補。カザフスタンの16歳!
15 Belgium van der PERREN Kevin 12 72.90
16 France AMODIO Florent 11 75.35
17 Canada CHAN Patrick 7 81.12
18 Czech Republic BREZINA Michal 9 78.80

19 United States LYSACEK Evan 2 90.30
20 Japan ODA Nobunari 4 84.85
21 Switzerland LAMBIEL Stephane 5 84.63
22 Japan TAKAHASHI Daisuke 3 90.25
23 United States WEIR Johnny 6 82.10
24 Russian Federation PLUSHENKO Evgeni 1 90.85


この記事を書いている時点で、バンクーバーは4:30です。選手はどんな夢をみてるでしょうか。はたまた、眠れていない選手はいないでしょうか。いずれにせよ、日本時間で明日の14:00には、新たなオリンピックチャンピオンが、彼らの中から生まれています。

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